偉い人の判断なら盲目的に信じていいの?

2021年9月25日土曜日

カルチャー

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トップダウンは時代遅れ!


某大手日本企業での出来事である。プロジェクトの責任者が、新規事業の計画について、メンバーにこんな説明をしていたそうだ。
「本部長からのご指示により、○○する方針に決まりました!」
と、当然のことのように。それを聞いていたメンバーたちは、こう感じたそうだ。
「これで、このプロジェクトの成功は無くなったな……」
と。何故なら、現代のビジネス環境において、トップダウンの方針が正解であることは、極めて少ないと言われているからだ。つまり、トップダウン型の意思決定は、最早、時代遅れとなっているのだ。

それなのに、日本の会社員の多くは、上位者からの指示に盲目的に従う傾向がある。
「偉い人のお考えは、きっと正しいに違いない!」
と。いわゆる、“鶴の一声”というヤツだ。それを合図に、皆が一斉に同じ方向を向く。昭和から平成にかけてよく見られた光景だ。それが高度経済成長期における、勝ちパターンとも言われていた。

しかし、よくよく考えてみたら、矛盾があることに気づく。地位が上であっても、常に言うことが正しいわけではないのだ。特に、今回のケースのように、対象が新規事業である場合はなおさらである。何故なら、仮にその本部長が、常に正しい判断を下しているとしたら、その会社では負け知らずの快進撃が続いているはずだからだ。なにせ、その人は、ビジネスの正解を知っていることになるわけだから。しかし、現実には、そんなことは起こり得ない。そのようなスーパーマンが、雇われの身のままで、一企業に所属しているとは考えられないことだ。

逆に言うと、雇われ社員や、雇われ役員である時点で、完璧さを求めるのには無理がある。所詮は“雇われ〇〇”の器なのだ。おそらく、新規事業を成功させた実績も、ほとんど持ち合わせてはいないと推察される。だとしたら、たとえ、その人が偉い人だったとしても、その人からの指示を鵜呑みにしていてはいけない。常に疑ってかかる心構えが必要だ。

とは言え、上位者に真っ向から反論するのは、時によっては命がけとなるケースがある。
「俺の指示に従わないなんて、生意気なヤツだな!」
と、目を付けられてしまうのだ。そうなっては、会社員人生も安泰ではなくなる。だから、実際には、そのあたりをケアしておくことが大事になる。

となると、結局は、“上の者”には巻かれろと言うことに、なってしまうのがジャパニーズ・ビジネス・パーソンの辛いところだ。

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