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社員の服装の乱れを気にするなんて時代遅れも甚だしい!
ある大手日本メーカーにおける、コンシューマー向けの機器を開発している部署での話。
以前、そこに所属している従業員の多くは、比較的ラフな服装で働いていた。作業着はあるものの、それを着崩す者が多くいたのだ。例えば、ジーンズをはいていたり、Tシャツを着ていたり、シャツをズボンのウエストの外に出していたり。特に、若い技術者に、その傾向が顕著に見られた。それにつられるように、上の世代でも、着こなしのオシャレな人が増えていった。
が、ある人物がそこにやって来て、その文化を一変させる。新たに赴任してきた、年配の所長様である。彼は、服装の乱れを厳格に取り締まった。ジーンズやTシャツを禁じ、シャツの裾は必ずズボンのウエストに入れるように指導した。以来、その部署では、皆が同じ格好で働くようになった。昔ながらの、工場勤務者の様相だ。
所長様は満足そうであった。彼にとっては、それとて立派な成果だったのだろう。あるいは、それこそが意識改革だと信じていたふしもある。が、しかし、それから数年後、彼にとっては予想外の現象が起こった。若い層で、離職者が目立つようになったのだ。聞くとことによると、その多くは競合他社に移ったという。中には、エース級の人材の流出もあった。
その影響かどうかは定かではないが、そのメーカーでは、じりじりとシェアを下げていった。少し前までトップ争いをしていたはずなのに、いつの間にか、下位に沈んでいる。それでも、従業員たちは勤勉に働いた。同じ作業着をキッチリ着て、たいして売れやしない製品の開発に勤しむのだった。
お気づきだろうが、このストーリーのヒール役である所長様は、典型的な“木を見て森を見ず”人材だ。どうでもいいことに目が行ってしまう一方で、大切なことを見落としてしまっている。
そして、このタイプの偉い人、実は日本企業には、ウジャウジャいるんだな。
所長様ご本人にも問題はあるが、この人を登用したその上の幹部連中も、大いに問題ありだろう。無能が連鎖するということに、そろそろ、気づいてもらいたいものだ。